愛は必ずしも手に入れることだけが本物ではありません。
かつて深く愛したこと自体が、意味のあることなのです。
以前の私は、「手放す」ということは「忘れること」だと思っていました。
しかし実際には、それは現実を受け入れ、後悔や心残りを認め、それでも前を向いて生きていくことです。
諦めることは、決して弱さや愛を捨てることではなく、現実を受け止め、お互いの選択を尊重し、かつての美しい過去を大切にすることです。
連絡を断ち、本当に手放すことこそが、お互いにとって最高の優しさなのかもしれません。
本当の意味で強くなったわけではない。
ただ、悲しみや痛みを抱えながらも、静かに前へ進むための理由を見つける術を身につけただけだ。
心に深く刻まれた思い出は時間と共に薄れることなく、ひそやかで柔らかな傷となり、胸の奥底に静かに沈んでいく。
そして、ふとした瞬間にそれに触れてしまったとき、改めて気付くのだ。
自分はあれほど真剣に愛し、あれほど深く傷ついていたのだと。